日刀保京都府支部7月入札鑑定会
京都府立文化芸術会館を会場として、京都府支部7月の入札鑑定会が開催されました。
鑑定刀
1号 刀 銘 濃州赤坂住兼元 明応八年二月日
2号 脇差 銘 近江守高木住助直 延宝九年二月日
3号 脇差 銘 備州長船康光 応永十八年八月日
4号 脇差 銘 和泉守藤原国貞
5号 脇差 銘 飛騨守藤原氏房
鑑賞刀
短刀 銘 信長(浅古当麻)
1号 少し短めの刀、反り頃合いに重ね薄めで手持ち軽い。地鉄は詰むも少々肌立ちあり。
棒映り状の箇所があるも白けが強く、腰元平地に土落ち風で不
規則な映り気。刃文は焼き頭が揃い気味の互の目、形状は不規則。少々荒錵付く。
2号 尺8寸程度。よく詰み綺麗な地鉄。
大小の互の目がリズムよく焼かれ、匂い深く、錵粒細かく、明るい。
京焼き出し風で僅かに先に広まる。
3号 2号より細身。杢目は無いが応永地鉄。淡く映り。
出入りの少な目な互の目で腰開き気味。丸味が目立つ互の目、頭が平らな互の目などを焼く。
帽子は互の目を焼き込み先丸く返る。棒樋を鎺上で丸く止める。
4号 尺5寸程と短寸で反り少し強め。元先開かず横手幅力強い。
詰む地鉄。湾れを互の目でつなぐ刃文。互の目を焼き込み虎徹風の帽子。
5号 平造り寸延び。反り気味で先鋭く美しい姿。重ね厚い。強く見応えのある地鉄。
二個で一つになる互の目(ライオンが寝転んだ様な)を小湾れでつなぐ。
匂い口は締まり気味で少々錵が荒い。

1号 濃州赤坂住兼元

2号 近江守高木住助直

3号 長船康光

4号 親国貞

5号 飛騨守氏房

辻本真幸先生の鑑定刀解説の様子
入札後は第69回重要刀剣に指定された浅古当麻信長の片切刃造の短刀を鑑賞させて頂きました。

キリッと端正な造り込み。肌立ち黒味を帯びる鉄で、地景が入り地錵が付きます。
刃文は藤島など北国物らしい互の目を焼き、足・葉入り強く錵付き、ほつれ、二重刃をよく見せ華やかです。
茎は銘字が鮮明で、信長の貴重な資料です。
今回は入札に苦戦する方も多く苦悶の声も聞かれましたが、多くの皆さんに入札に参加して頂く事が出来ました。
次回は9月開催の予定です。