日本美術刀剣保存協会京都府支部は、昭和二十四年の発足以来、七十余年の歩みを刻んできた歴史ある研究会です。
当支部では、古来より本阿弥家に伝わる「刀剣入札鑑定」という研究法を活動の中心に据えています。
日本刀の正しい知識を普及させるとともに、会員が互いに研鑽を積み、日本の伝統文化の精髄である日本刀への深い理解と、鋭い審美眼・鑑識眼を養うことを主眼としています。
古来、日本刀は単なる武器の域を超え、日本人の精神性を象徴し、神が宿るものとして尊ばれてまいりました。作刀に込められた祈り、そして帯刀した者が投影した規範や美意識。その清廉かつ強靭な美しさは、我々日本人が大切に守ってきた「和」の心、日本の精神文化の結晶にほかなりません。
日本刀は他の伝統美術品とは少し異なり、学びの門戸が広く開かれていることが大きな特徴です。現在、各地で様々な研究会が催されていますが、当支部も研鑽の場の一つとして、活動を続けています。
博物館等において、ガラス越しに眺める名刀もまた美しいものですが、実際に手に取り、光を選び、姿、地鉄、刃文を間近に拝受して得られる感動は比類がありません。刀身が放つ厳かな緊張感、そして高い精神性に向き合うことで得られる学びは、知識の習得において文字どおり次元を異にするものと確信しています。
私たちの使命は、先人が幾多の苦難を越えて守り伝えてきたこの貴重な文化財を次代へと確実に継承していくことにあります。
日本刀の文化と歴史を真摯に学びたいと願う方々を、心より歓迎いたします。皆様とともに、日本刀が放つ不変の美を探求できることを楽しみにしています。
日本美術刀剣保存協会京都府支部
支部長 中野秀人

刀工左行秀の肖像と云う。
大正時代の「刀の研究」(主幹川口陟氏)に口絵として掲載されたものである。
体格高勁。筋骨隆としてたくましさを想像できる土佐藩工の姿。
手にとる刀はよきライバルの清麿か、はたまた直胤か、心静かに観る瞳は専ら一点を凝視する。
洛雨庵生谷敬 記
(津どい 80号 表紙より)
